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「なんですか?」
私はそう言って、起き上がった。
「明日帰るの?」
「うん、おじいちゃん達の所に行かないといけないんだ」
「ふーん」
先輩の反応が薄い。
立ったまま、こっちを見ている先輩。
薄暗くて、表情は分からない。
「あのさ・・・」
先輩が言って、続きを待つ。
でも、なかなか言い出してこない。
「先輩?」
心配になって、声をかけてみる。
「あんまり、遠くに行くなよ」
先輩が言った。
遠くに行く?
どういう事?
「俺から、離れて行かないで」
先輩の小さな声。
私は自分を恨んだ。
なんで、こんなにバカなんだろう。
先輩の言っている意味が分からないなんて・・・。
でも、聞けない。
沈黙が続く。
「私は、先輩とか和美と一緒に居たいです。
離れ離れは嫌です」
答えがこれで合っているかなんて、分からない。
だけど、それしか答えが見つからなかった。
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