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「明日、俺の誕生日なんだ」
先輩が言った。
「・・・誕生日?」
明日、先輩の誕生日だったんだ。
「欲しいものがあるんだ」
「うん」
先輩の欲しいもの。
先輩が一番喜ぶもの。
私は先輩の言葉を待った。
「一回だけでいいんだ・・・。
あんたと、キスがしたい。
強く抱き締めさせてほしい」
先輩の声が震えている。
先輩・・・。
胸が痛い。
先輩の気持ちが痛いくらい伝わってきて、涙が止まらなくなった。
先輩がこんなに想ってくれているなんて・・・。
私は服の胸の部分を強く掴んだ。
痛い・・・苦しい・・・。
きっと、私よりも先輩のほうがいっぱい苦しいんだろう。
私の何倍も・・・何倍も・・・。
「明日・・・必ず・・・先輩に会いに・・・行きます・・・」
先輩の願いを叶えるために。
私はそう伝えた。
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