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桜野里は,小さいながらも治安が良い。暖かいし,作物も育てやすく,春になると桜が一斉に咲く。
他国とは陸続きなため,いつこの国が滅びるか……
そんな国を,15歳の少女が……
山の上から眺める景色に感動するような優しい少女が,おさめている…
ツキムは真面目な顔をセナが走っていった山道に戻した。
何人いるのだろう。お供がズラリと,ふもとまで並んでいる。
セナは身分差別が大嫌いだ。姫と呼ばれることをも嫌う。
ツキムは苦笑し,自分は,どうすることもできないな…と俯いた。
同時刻,セナはひたすら山道を駆けていた。
風をきって走ると,本当に気持ちが良い。
息を切らし始めた頃,ようやく探していた者達の姿が見えてきた。
若い―二人の男だった。
「セナ?!」
「ハァ…ハァ…そなた達…遅かったではないか…」
セナの言葉に,片方の男が苦笑した。
「セナが早すぎなんだよ」
その男達はよく見ると,セナと歳が変わらない。
少し,視線を感じる。当たり前だ。
同年齢とはいえ,この国の姫に対して敬うように見えない。
片方の男が少し困るような表情をしたので,セナは慌てて言った。
「すまない,シンラン。悪く思わないでくれ」
シンランと呼ばれた,この少年は,セナと幼なじみで,2つの時から知り合いだ。
背丈はセナと変わらないが,キリっとした男らしい顔立ちの男だ。
もう一人の静かな男は,ラガゥ。セナやシンランと幼なじみの少年だ。
三人の中で最も背が高く,目は細い。
顔立ちも性格も,シンランより大人っぽい。
そしてこの国で1,2を争うほどの呪術の天才だ。
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