【第二章】模擬試合

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「危ねぇな!!」 恭司は足が地に着いた途端、すぐに飛び跳ね、その一撃をギリギリで躱した。 殺せなかった分の勢いは何度も跳んで相殺し、ついでにユウカとの距離も空けようとする。 しかし、 ユウカは素早く体制を整えると、遠ざかる恭司に追いすがった。 まるで飛ぶように跳び、瞬き一つする間にぐんぐんと距離を詰めてくる。 勢いを殺すためとはいえ、恭司も地に足が着くたびに跳んで動いているのだ。 それなのに、 距離はほぼ一瞬にして縮まり、気付けばユウカの振り下ろしの一撃が恭司の眼前に迫っていた。 「マジかッ!!」 恭司はすんでのところで木刀を滑り込ませる。 ユウカの振り下ろしと恭司の防御で、木刀同士の激しい衝突音が響いた。 このまま膠着するかと思われたが、さっきこの状況でユウカに蹴られたことを思い出し、恭司はユウカの木刀を弾いてサッと後ろに跳ぶ。 その腕は、少しばかり痺れていた。 (かなり真面目に強いじゃねぇか……。動き速すぎだろって) ユウカに先手を取られて以来、本当に怒涛のラッシュだった。 追い討ちの速度が並みじゃない。 それに、 動きだけでなく、木刀を振る速度も速すぎる。 初撃の二連撃の時点からそうだったが、どうやら身体能力だけでなく技量まで高いらしい。
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