【第二章】模擬試合

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「驚いた……。まさか防ぎ切られるとは思わなかったよ」 ふと、ユウカは一旦動きを止め、話しかけてきた。 その声は割と真剣なものだ。 ユウカにとって、どうやらこれはかなり意外なことだったらしい。 「防ぎ切れなかったらベッドに逆戻りじゃないか……」 恭司は呆れたようにため息を吐く。 やはりそれが狙いだったようだ。 「ま、まぁ、防げたんだし良いじゃん。言っとくけど、このレベルに付いて来れる人なんて、クラスにも数えるくらいしかいないんだから、もっと嬉しがってくれてもいいんだよ?」 ユウカは少し早口でまくしたてる。 話題を変えたがっているのが見え見えだったが、さすがに気付かない振りをした。 ちょっとした腕試しとはいえ、試合は試合だ。 空気くらいは読む。 「クラスとか言われても正直分からんさ。俺は学校っていうもの自体、記憶にねぇんだからな」 「まぁ、そりゃあそうだろうけどさー……。ちょっとくらいは自慢気になってくれてもいいと思うんだよね」 「そう言われてもな……」 「でないと…………これからさらに速くしても、驚き薄くなっちゃうじゃん?」 「何?」
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