【第二章】模擬試合

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「恭司……君は一体……」 ユウカが尋ねてくる。 しかし、 それは恭司にも分からなかった。 何で、自分がこの技を使えるのか。 何故、"最初から知っていた"のか。 「分からない……。ユウカのそれを見て、俺は咄嗟に懐かしく感じたんだ。この技を……前にも使っていたことがあったような気がして……試さずにはいられなかった」 「…………」 「悪いことをしたと思っている。もちろん、からかうとかそういうつもりではなかったんだ。ただ……」 「…………」 場に変な空気だけが取り残される。 何気なく始めた腕試しで発覚したそれは、どちらにとっても、あまりにも大きすぎる事実だった。 戦いは自然と終わり、ユウカも恭司もその場に立ったまま、一言も喋らない。 しかし、 「これは……久しぶりに帰ってきたらずいぶんと面白いものが見れた」 その時、2人の背後から突如として声が聞こえた。 「……誰だ?」 恭司はいきなり現れたその男に容赦ない敵意を向ける。 パッと見た感じでは若そうに見えるが、肌の張り具合や服装などを見るに、おそらくは40ほどの歳だろうか。 平均的な身長だが、体つきは異常にしっかりしている。 筋肉がはち切れそうなほど膨らんでいて、服がパンパンになっているほどだ。 そして、 このヒシヒシと伝わってくる圧倒的な存在感。 おそらくは武芸者。 それも……かなりのレベルだ。 「そう睨みつけないでくれ。何も危害を加えにきたんじゃない。ただ家に帰ってきただけだ」 「家に?」 恭司はユウカを見た。 ユウカは頷いている。 どうやらそういうことらしい。 「私の……お父さんです」
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