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「うっ……」
朝、目を覚ますと、男はベッドの上だった。
仰向けで寝ている状態で、その上には丁寧に布団がかけられている。
どれだけの時間かは分からないが、どうやら男はこのベッドで寝かされていたらしかった。
体に目を向けてみると、汗が全身の至る所にこびり付き、服にベッタリと張り付いている。
考えてみれば息も熱いし、悪寒も感じる。
体調の方は、残念なことに、お世辞にも良いとは言えなさそうだ。
おそらくは38か39ほどの熱を出している。
少しでも動こうとすれば凄まじい倦怠感がのしかかり、手足に力はまるで入らない。
無理をすれば多少は動かせるだろうが、それにはとても大きな体力を必要としそうだった。
男は熱い吐息をフゥと吐き出す。
「何が……どうなってんだ」
見た所、特に拘束などは受けていないようだが、しばらくの間は激しい運動はできそうにはなかった。
外傷は見当たらないからしんどくても一応歩き回るくらいのことは出来るだろうが、不自由な感覚は避けられないだろう。
まるで緩めの金縛にあったかのようだ。
意識だけは不思議と鮮明としているが、体は脳の言うことをまるで聞きやしない。
それだけ、今は回復が追い付いていない状態ということだろう。
もしかしたら、自分はこの状態になるまでに何かとてもエネルギーを損傷させるような事態に陥り、その状態から寝て起きたから、こうなっているのかもしれない。
男はそう思った。
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