一つ目の罪

2/2
前へ
/2ページ
次へ
「おはようございます。」 中村亮樹はスタジオに入ってすぐにスタッフの人々に挨拶をした。 その時の中村は疲れを感じさせない爽やかな笑顔をみせた。 「お、中村君。最近調子いいねー。」 挨拶したスタッフから返された台詞。 「いやいや、まだまだ頑張らなきゃですよ。」 中村は後頭部に手を添え、眉毛をハの字にして笑った。 そう。中村は大人気グループの一員であるが、そのグループの中でも特に一番人気がある。 彼にもその自覚は十分にあったようで、時々メンバーに見せる偉そうな態度にメンバーは少々不満を持っているようだった。 「おい、亮樹!遅刻なんだから少しは急げよ!」 中村のメンバーである赤嶺勝は微苦笑しながら叫んだ。 「わりぃわりぃ。遅くなった。」 中村は反省の様子も見せず気持ちのあまりこもらない台詞を残し持ち場についた。 リーダー中村の率いるグループは全部で4人。 赤嶺勝 原田智彦 篠山裕 中村亮樹で成り立っているEnvyという名のグループだ。 歌も踊りも芝居もやるという要はアイドルグループである。 その日は雑誌の表紙の撮影であったのだ。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加