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朝日が徐々に顔を出して、一日が始まることを主張している。
時刻にして0500時。
辺りはまだ夜の静けさが残っている。
「おはようございます。今日はいつもより早いですね?」
「あぁ、今日は何だか早く目が覚めたからな。気分転換に早く来てみたんだ」
朝の挨拶と共に、門の前に立つ守衛の若い兵士が男に対して気さくに話しかけた。
男はそんな若い兵士と軽く会話を交え、身分証を見せると、門をくぐり抜けて中に入って行く。
「あ、須藤少尉。今度また飲みに行きましょうよ。可愛い子いる店、見つけたんです」
守衛の若い兵士は男、もとい須藤少尉を呼び止め、そう言った。
須藤と呼ばれた男はそんな若い兵士に首だけ振り向けると、小さく頷いて、
「おう、また今度な」
と言って軽く手を振り、歩いて行く。
ここ、沖縄県にある日本国防陸軍及び空軍が駐屯する嘉手納基地は、初夏の爽やかな陽気に包まれていた。
そんな広大な敷地の中をゆっくり歩く将校が一人。
どこまでも続いているかのような、滑走路を見つめ、軽く欠伸をして再び歩き出す。
彼の名前は須藤 直政【スドウ ナオマサ】
日本国防陸軍に所属する若き将校だ。
階級は少尉。
所属部隊は第51普通科連隊。
年齢は25歳。
身長は176cmで若干猫背気味。
首に火傷の跡があるのが極めて目立つ。
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