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彼女を無視してそのまま玄関を通ろうとする。
なにせ相手は二つ名持ちだ。目をつけられるとろくな目に遭わない。
「二つ名で呼ばないでって言ってるでしょっ!私にはアスタロッテ・エリーナって言うちゃんとした名前があるんだからっ!」
「あ、そういやそんな名前だったな。完全に忘れてたわ、すまん」
「わ、忘れてたですって……っ!」
何故かご立腹なレッドハ…エリーナ。
ちなみに二つ名と言うのは学園の間での渾名……みたいなものだ。
二つ名持ちは基本的に成績優秀者や、変人に多い。
彼女の二つ名の由来は一年生にして学園最強の異名をもち、どんな凶悪犯罪者をも血祭りに上げ、その返り血を浴びた姿はまるで、真っ赤に燃える夕陽のように真紅に染まっていたから『真紅に染まる後ろ姿(レッドハート)』、らしい。
「どうやらあんたは私を怒らせたいようね……でも私も鬼じゃないわ。今謝罪をしたら許してあげても良いわよ」
「あ、すまん。えーっと――今日もお胸が小さいですね」
「貴方の血は何色かしら?」
エリーナがそうつぶやいた瞬間。
殺気を纏った弾丸が頬をかすめ、血が滴り落ちる。
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