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詩織はぺこりと頭を下げ、そのまま小走りに自分の席へと向かっていった。
あいつ本当に男なのか?
めっさ可愛いじゃねぇか。
「詩織って普段大人しいのに、任務になると本当に人が変わるっていうか……とにかくすげぇヤツだよ、あいつは」
「へぇー、二つ名持ちがいかに凄いか改めて思い知らされたよ」
「ちょっ……そんな褒めんなよ…恥ずかしいだろ」
「お前を褒めた訳じゃねぇよタコ」
大雅とひと通り話したところで俺は黒板の上についている時計を見た。
九時三十分か……流石にもうそろそろ先生が来る頃合いだろうから、自分の席についておくか。
荷物も早く置きたいし。
そう思い、俺は再び動こうとした時――
教室のスピーカーからノイズが入り、放送が入った。
《緊急放送、緊急放送。二つ名持ち、及び竜宮永児は至急、放送室隣の作戦会議室に集合せよ。繰り返す、二つ名持ち、及び竜宮永児は至急、放送室隣の作戦会議室に集合せよ――》
放送が終わった途端、大雅と詩織はつい先程までとはまるで人が変わったように真剣な顔つきになっていた。
クラスの皆もざわつき始める。
注目が俺と大雅、詩織の三人に集まる。
なんでこうも毎回皆から注目されなきゃならんのだ。
ぬぅぁああ!死にてぇ!
その場で頭を抱えて唸っていると、大雅と詩織が俺の近くによってきた。
できればそっとしておいてほしい。
そんな俺の気も知らずに大雅は三人だけに聞こえるくらいの小さな音量で話しかけてくる。
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