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~AM2:00~
「…はぁっ…はっ…はぁっ…!」
ハイヒールの走っている時に響くあの独特のカツカツという音を雨上がりの路地裏で響かせながら、一人の若い女性が真っ赤なパーカーを着、フードを深くかぶった男に追われていた。
男の表情はフードと影でよく見えないが、口元をいびつに歪ませているのが分かる。
男はとても今の状況を楽しんでいるのだ。
女性はその日、いつもは履かないハイヒールで女友達と遊んだことを心の底から後悔しながら、いつもは避ける水たまりも避けようともせず、足元を泥で汚しながら、とにかく男から逃げていた。
「こ、こないで…こないでよっ!」
徐々に女性の体力が限界にきたのか、女性の走るスピードが段々と落ちていく。
フードをかぶった男は逆にどんどん歩みのスピード上げていく。
「……あっ!……」
慌ててしまったのか、とうとう女性は足を絡ませてしまい、転んでしまった。
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