prologue

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僕は岸上蓮(キシガミレン)。 高校3年だ。 そして、僕の耳元で叫んだのは、杉崎春(スギサキハル)。 ド天然の女子。 天然が髪の毛まで染み出ている。 中学生のときからの友達だ。 「昼休みとはいえ、うるさいよ春君」 急に出てきたこいつは生徒会長の西森創(ニシモリツクル)だ。 頭良いし、美形だし。 そして彼は、腰に剣をかけている。 そう、アビリティーの所有者だ。 アビリティーを発現する人は、発現と同時に手元に現れる武器を持っている。 学校でも、460人いて3人か4人しか居ないらしい。 アビリティーについてはあまり詳しくは無いがわかっていることは……。 人間の奥深くに眠る潜在能力。 これを最大限引き出し、その時発生するエネルギーのことを言う。 普通、そのエネルギーは体内で、火や水といったものに変換して使う。 変換できるものは人それぞれ。 昔はまだ理屈がわからず、アビリティーの所持者は、超能力者と呼ばれていたそうだ。 いまだに、解明されて無い部分もあるらしい。 「また夢を見てたよ…」 そう、僕はいつもこの夢を見る。 理由は知れていた。 しかし、誰にも話したことは無い。 キーンコーンカーンコーン 「もう授業が始まる。席につきたまえ」 えらそうに創が言う。 それはそうだ。 アビリティーを持ったものは学校でもトップに位置する。 オマケに頭がいいから言い返せないのだ。 僕は『英雄』にはなれなかった。 大切なものを護れなかった。 しかし、神様は僕に『英雄』になるチャンスをくれた。
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