‐僕は力を手に入れた‐

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授業が始まった。 一時限目から苦手な英語なので、やる気はゼロに近かった。 はぁ…。 ため息をしながら、僕は窓から空を見た。 僕達は、四階の教室なので景色はいい方だ。 ヘリコプターが何機か飛んでいた。 「ヘリコプターが飛んでる」 自分では小声で言ったつもりだった。 実際、小声だった。 しかし。 「君、今何て言った?」 創が聞いてくる。 お疲れさまです。生徒会長。 「どうせ、授業なんか聞かずに空見てましたよ~」 「そうじゃない」 真面目な顔で言い寄ってくる。 僕の首筋に冷や汗が流れた。 「いや…ヘリコプター飛んでるなぁ…て」 「そうか、わかった…。ありがとう」 何なんだ? 何かヘリコプター関係あるのか? 「ぐぅぅう…」 何かいびきが聞こえるぞ。 いびきの主は春だ。 生徒会長の前で寝るとは、肝が据わってるのだか、バカなんだか。 だけど創は何も言わない。 しかし、右手を剣の柄にかけている。 え?嘘だろ? 「創!早まるな!」 「みんな!伏せて!!」 創が叫ぶ。 それから0.7秒後。 バン、ヒュー 花火か? 次の瞬間! ドーン!バキバキ! 教室の天井が、火を上げながら吹き飛ぶ。 「何だ!?」 「キャーッ!!!」 教室中に悲鳴が響き渡る。 何だ!?何が起きたんだ!? ふと、上を見上げる。 むき出しの空。 そこにはさっき外で飛んでた、ヘリコプター。 「おい…。まじかよ」 『アビリティーの所有者、およびその素質のある人間を捕縛する。おとなしくしてくれ』 ヘリコプターから声が聞こえる。 と、同時に、皆同じ格好をした乗組員たちがヘリコプターから飛び降りてきた。 「大人しくしてくれ」 嘘だろ…嘘だと言ってくれ!! その乗組員たちの制服に刺繍されていたマーク。 『黒の翼』だ……。 「よし、捕縛にかかれ」 幹部らしき男の指示に「ハッ!」と軍のような返事をする部下たち。 「そうは、させない」 『黒の翼』の部下たちの足が氷で凍りついた。 この声は……。 「生徒の命は、僕が護る。生徒会長という名に賭けて」 創だ……。
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