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「創なのか?」
「見た通り」
中のくり抜かれた剣。
それと氷のアビリティーか…。
冷血漢にはお似合いだな。
「こんな物で足を止められると思ったか?」
幹部らしき男が太刀を横に振る。
するとバキバキと音を立てて氷が割れる。
「行け」
部下たちが動き出す。
やばい!やばい!
体が勝手に反対側に走り出す。
逃げろ!!この場から早く離れろ!!
自分の本能が叫ぶ。
すると、ドサッと何かが地面に落ちた音がする。
反射的に、振り返る。
太刀で斬りつけられ倒れている創……。
嘘だろ!?
創がやられた!?
「何をやってる!!早く逃げろ!」
逃げろ!!遠くへ!!ただの人間が太刀打ち出来る相手じゃない!
グランドまで逃げて校門を目指す。
でも僕は気づく。
俺はこれで良いのか?
また、¨あの日¨のようになってしまうのか?
「キャア!!」
すぐ後ろから春の声……。
まさか春まで……。
「れん君!」
本能が足を校門に向ける。
でも助けたい。
大切な友達を護るため。
「うおぉぉお!!!」
近くに落ちていた鉄骨を持って走る。
「蓮君!」
春!今助ける!!
ガキンッ
相手も剣を抜いて鉄骨をはじく。
僕は宙を舞う鉄骨には目もくれず殴りかかった。しかし……。
ビッ……。
相手の剣は容赦無く、僕を切った。
倒れた僕に血がパラパラと降りかかる。
ああ……。
また、だめだったのか………。
連れ去られて行く春。
「蓮君!」
また、同じコトを繰り返してしまうのか?
「れんくん!」
また、這いつくばって見ているだけなのか?
嫌だ。
そんなの。
絶対に……!!
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