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本日、クーリエ魔法学校では年に一回の魔術大会が行われる。
会場は学校の近くにある公共施設の闘技場で、既に客席の八割が埋まっていた。
それを見たクラッドは目を丸くして呟いた。
「すっげー」
「凄い人だね…、何人いるのかな」
キラカも思わず声を漏らす。
「あ、あの人!軍の偉い人よね!?テレビで見たことあるわ!」
エルナは観客席の最前列に座る白い髭を蓄えたなんとも威厳のある男性を、あからさまに指差すのは気が引けたのか、小さく指差した。
「あぁ、あの方は軍の最高指揮官を務めるウォラント氏だな。今大会の審査員をすると聞いている」
シークは、驚きポカンと口を開ける三人を尻目に淡々と言った。
「そんな偉い人が来るなんて、この学校って凄いんだね」
キラカの呑気な声に三人は一斉に振り返った。
「おま…、いや、キラカなら有り得るか」
「そうだよね、キラ君って案外天然だもんね」
「この大会を知らないくらいだしな」
「え?」
訳が分からないと言った表情のキラカを三人は気の毒そうに見つめた。
「クーリエ魔法学校は軍直属の学校だ。だから軍のトップが将来有望な生徒を見定めに来る事も当然だし、何より、生徒の中には第一志望が軍の奴が一番多い。俺もそうだがな」
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