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「シークって軍志望なんだ」
「あぁ、俺の家は代々軍に務めることになっているからな」
シークの家、ウイスタリア家は先代から代々軍の中枢を担う軍貴族で、数々の功績を残している事で有名だ。幼い頃からの英才教育によって家の名に恥じない人格を形成され、ウイスタリアというだけで期待されるほどだ。
だが一方で、身分の高低で人を選び、少しでも気に入らない者は即刻排除するといった冷酷非情な一族とも言われている。
「てっきりシークは教師にでもなりたいのかと思ってた」
キラカは少し残念そうに呟いた。
「なんで…、そう思うんだ?」
「だって勉強するの好きそうだし、物事を人に教えるのも好きでしょ?それにアリス先生を見る目が、尊敬っていうより憧れって感じだし」
キラカはこの数ヶ月で見てきたシークを自分なりに表現した。
「………」
シークは戸惑っていた。今まで自分のなりたい物など考えた事が無かったし、軍に入る事が当たり前だと思っていた。
だが、キラカの言葉によって今まで想像すらしなかった未来の自分に、軍人ではない姿を見てしまった。
「悪いな、俺にそんな選択肢は無いんだ」
教師の自分。決められた道の上には無いそんな不安定な未来を選ぶ事など、今のシークには不可能だった。
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