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「だって間に合わないから」
「だからってそんな所から飛び降りたら目立つだろ!」
「あ、そうか」
クラッドの助言を聞いたキラカは左手を自分の体に翳して、光魔法によって姿を消し、そのまま手摺から飛び降りた。
「どこいった!?」
景色に同化するとまではいかないものの、よく見なければどこに居るのか分からない。
三人は見失ったキラカを探して手摺に駆け寄り、会場を見渡した。
すると、先程エルナが指差した場所に赤いユニフォームに銀髪の人物が見える。
「間に合ったみたいだな」
「良かった…。キラ君どんだけ天然なの!?」
「天然っつうか、抜けてるよな」
銀髪の少年を見送った三人は安堵のため息を吐き出した。
…………………
「君、集合時間は守りなさい!本来なら失格だぞ」
待たされた審判はどこからともなく現れた遅刻少年を怒鳴りつけた。
「…すいません」
キラカが申し訳なさそうに謝ると、審判は小さくため息を吐いた。
「時間が無い。制限時間は30分だが、相手が棄権するか気絶しても試合終了だ」
そう言って審判は試合開始の合図を出した。
「ふん、もう来ないのかと思ったぜ」
同じ赤いユニフォームを着た男子生徒はキラカを馬鹿にするように鼻で笑った。
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