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「はは、ごめんね」
クラスメートの嫌味に気付いていないのか、流しているのかは定かではないが、キラカは左頬を掻きながら軽い謝罪を口にした。
男子生徒は飄々とするキラカに小さく舌打ちをすると、岩を纏った右手でキラカに殴りかかった。
「ふーん、土か」
キラカは勢いだけで突っ込んでくる少年に対し身体を左にずらして避けると、通り抜けたその背中に向かって突風を吹き付ける。
「うっ」
自らの勢いとキラカによる追い風によって前方に押し出される形となった身体に足が着いていかず、顔面から地面に倒れ込んだ。
「手ぐらい着こうよ…」
まさか顔面から転けると思っていなかったキラカは思わず呟く。
「馬鹿にしやがって…!」
少年は衝撃によって垂れた鼻血を拭い、今度は両手で地面を勢いよく叩いた。
すると、キラカの周りの地面が突然盛り上がり、キラカは身動きが取れない状況になった。
「これで逃げれないぜ?」
少年はニヤリと口元を歪ませると、再び右手に岩を纏わせてそのままキラカに殴りかかる。
筈だったが、キラカは難なく自らを取り囲む岩を、炎を纏わせた拳で砕くと、やはり勢い任せの少年の攻撃をサラリと避け、その首筋に左手を叩きつけた。
「なっ!がっ…」
暫し静寂が漂う…。
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