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「あれ、クラッドって何試合目だっけ?」
キラカはクラッドの走り去った方向を見たまま首を傾げた。
「確か五試合目だった気がするけど、まだ二試合目も終わってないわよ?」
「はは、クラッドはせっかちだなぁ」
「お前はもっと時間に余裕を持って行動しろ」
ケラケラ笑う彼にシークは呆れたように呟いた。
…………………
結局クラッドは自分の試合が始まるまでに一時間近く待たされたのだった。
「次、クラッド・バーミリオン対ライト・マルーン、始め!」
クラッドは正面に立つひ弱そうな少年を睨みつけた。
「ひっ」
少年、ライトは情けない声を上げると肩をガクガクと揺らし始めた。
そんな様子のライトに同情したのか、クラッドは魔術を纏わない普通の拳で最初の攻撃を仕掛ける。
「うわぁ!」
少年は避けようとすらせず、その場にしゃがみ込んだ。
「なっ!お前やる気あんのかよ!」
あまりにも闘う気持ちが見られないライトに、クラッドは遂に声を荒げた。
だが、少年は頭を抱え込んで震えるばかりで、立ち上がる気配すら感じられない。
「はぁ、闘えないなら棄権するか?」
クラッドの穏やかな問いかけに、ライトは涙を溜めた茶色の瞳をゆっくりと上げた。
「き、棄権します」
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