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待たされた挙げ句の果てに、身体すらまともに動かせなかったクラッドはオレンジの頭をガシガシ掻きながら退場する。
その後をひ弱そうな少年、ライトが追いかける。
「ま、待ってください」
「んだよ」
クラッドは苛立ちから不機嫌に眉を寄せて振り返った。
「ありがとうございます!僕、あの時すぐに棄権するつもりだったのにパニックで頭が真っ白になって、もしクラッド君じゃなかったら僕は今頃…」
「分かったから、もう良いだろ?」
クラッドの苛立ちは呆れに変わり、一刻も早くキラカ達に愚痴りたいのが本音だった。
だがライトは引かない。引かないどころか、クラッドの手を握り締めた。
「クラッド君、お礼と言ってはなんだけど、困った時は此処に連絡して!」
「『マルーン製鉄』?」
それはライトの実家、マルーン製鉄の名刺だった。
「クラッド君、剣つかうよね。もし不具合があったら僕んちに持ってきてよ!無償で直すから」
そう言ってライトはクラッドに手を振りながら去って行った。
…………………
「クラッド、マルーン製鉄と言えば、ノクタリートでも有数の鍛冶屋だぞ!」
シークはクラッドの持って来た名刺を見て思わず目を丸くした。
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