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「へぇ、ラッキーじゃん」
キラカはその名刺を覗き込んで言った。
「あいつの家そんなに凄いのか…。じゃあ今度コイツ持ってってみようかな」
クラッドはマルーン製鉄がそこまで有名だと思っていなかったため軽く拍子抜けしつつも、腰にある愛剣にそっと触れた。
「ねぇ、エルナとシークの試合はまだなの?」
「私はこの試合の次の次」
「俺はもう少し後だな」
キラカが頑張ってとにっこり笑うと、シークはフッと口元を緩めたが、エルナは不安げにため息を吐いた。
「どうしたの?」
キラカがそんなエルナの顔を覗き込むと、彼女はぱっと顔を上げ赤面した。
「だって私戦闘派じゃないし、って言うかキラ君近い…」
そう言われたキラカは頭に?を浮かべながら身を引いた。
その様子を見ていたシークとクラッドは揃って呆れたようにため息を吐く。
まさか自分がそんな風に呆れられているとは思わず、キラカは再び口を開いた。
「何も、蹴ったり殴ったりだけが闘いじゃないよ。エルナは光が得意なんだからもっと活かすといいよ」
そう言ってキラカはまたいつものように微笑んだ。
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