159人が本棚に入れています
本棚に追加
/206ページ
市街地をさ迷って小一時間
「お前地元のヤツじゃないのかよ」
「あれ?一言もそんなこと言ってないよ」
「そうだけどさ」
クーリエ魔法学校には寮が隣接している。地元の生徒も寮を活用する事が多く、また、この学校の生徒のほとんどがノクタリートの豊かな環境で育った地元民だ。よって、シークはキラカをその大多数の一人と見なし、今に至る。
「ねぇ、あれじゃない?シークの言ってたやつ」
「ん?あぁ、そうだな」
キラカの指差す先には中古の家具を扱っている店があった。
「でもなんで中古なの?ウイスタリアって貴族なんでしょ?」
「金は…あんまり遣いたくないんだ。それよりお前、俺が貴族だって知ってたんだな。」
シークは目線を中古家具屋に向けたまま言った。
「うん。だって男子生徒の二人組が話してたから」
キラカは盗み聞きじゃないよ、聞こえちゃったんだ、と手を顔の前で降った。
そうこうしているうちに二人は家具屋の前まで来ていた。
「いらっしゃい。おや、その制服、クーリエの生徒かい?見たところ新入生だね。さては寮の部屋に置く家具を買いに来たと見た!なーに、図星だろう?椅子に机、ラジオに鍋、それから…」
キラカ達が店の前で立ち止まったとたんに、待ってましたと言わんばかりに店主のマシンガントークが炸裂する。
最初のコメントを投稿しよう!