第七章 †大会初日†

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…………………  キラカは闘技場の外へ出ると、人通りの少ない場所を探して歩き出した。  建物と建物の間、まず人は通らないであろう、その、人ひとり通れるくらいの隙間を進む。 「この辺でいいか」  キラカはポケットから装飾の施された指輪を取り出すと、現在左手に着けている、大きく亀裂の入った指輪を見つめた。  さっきの試合で完全に壊れちゃったな。せっかくセピアがくれたのに。キラカはその亀裂の入った指輪を外すと、新しく作った指輪を着けた。 「我ながら上出来だな」  小さくため息を吐くと、先程まで自分で抑えていた、壊れた魔具の分の魔力を解放した。  しかし、新しい魔具によって、その解放された魔力が身体から流れ出る事は無い。 「遅くなるとクラッドに怒られちゃうし、そろそろ戻ろうかな」  キラカは時計をしっかり確認するとそう呟いた。 …………………  キラカが闘技場の中に戻ると、シークとクラッドが何やら浮かない表情で話し込んでいる。 「どうしたの?」  まさかキラカがこんなにも早く戻るとは思わなかった二人は、突如現れた銀髪少年を前に二人揃って目を見開いた。 「はは、おんなじ顔だ」  一方、キラカは楽しそうに目を細めて笑った。
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