第七章 †大会初日†

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「びっくりした…、キラカ早かったな」  シークは椅子に座り直して、未だニコニコするキラカを見上げた。 「だって遅れたらクラッドに怒られちゃうからね」 「お前な、怒られるからって…、子供かよ」  クラッドはキラカの緩い受け答えに呆れて頭を掻いた。 「ところで何話してたの?凄く難しい顔してたけど」  キラカは先程見た二人の浮かない表情の訳を聞こうと話題を変えた。 「あぁ、エルナの対戦相手なんだけどよ、あいつ見えるか?」  クラッドは、既に闘う準備は出来たと言わんばかりに会場に仁王立ちする体の大きな男子生徒を指差した。 「でっかいね」 「だろ?それに噂だとデカいだけじゃなくて腕も立つらしいし、乱暴だって聞いたんだ。だからエルナが心配だなって」 「ふーん。でも心配無いと思うよ」  キラカはエルナの身を案じるシークとクラッドを余所にいつもと変わらず微笑んだ。 「おい、始まるぞ」  シークの声に二人が会場を見ると、大きな男子生徒の向かいに小柄な金髪の少女が立っていた。 …………………  エルナは目の前の巨体に一瞬身を硬くしたが、次の瞬間にはリラックスしたように頬を緩めていた。
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