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「エルナちゃんよぉ、棄権する事を勧めるぜ?そのカワイイ顔が台無しになっても良いなら別だけどよぉ」
男子生徒は顔についた肉を揺らし、にやつきながら言った。
エルナは恐怖ではなく、気色の悪さに身震いしたのだが、それを見た男子生徒は震える仔羊を見た獣のように嬉しそうに口元を吊り上げた。
程無くして試合が開始されたが、エルナに棄権をする様子はない。
「棄権しないのか?じゃあ遠慮無く行くぜ」
男子生徒はその大きな体を感じさせない俊敏な動きでエルナに詰め寄った。
「っ早い!」
男子生徒の突き出した右手をギリギリでかわしたエルナは、そのまま後方へ大きく跳び、距離を取る。
「次は外さねぇよ?」
「さっきから煩いわね!黙ってやりなさいよ(どうしよう、何か手はないかしら)」
エルナは力では先ず適わないであろう巨体の男子生徒にどうにか対抗出来る方法を考えていた。
そんなエルナに男子生徒は再び詰め寄り右腕を振り下ろす。
が、エルナはその瞬間に後ろに跳躍して避けながら右手を彼の顔面に向けて突き出すと、突如、男子生徒の視界は白で埋め尽くされた。
「うっ、眩しい!」
エルナはその巨体の後ろに素早く回り込み、強い光で目が眩んで動けずにいる彼の頭部に、直径50cmくらいの氷の塊を叩きつけた。
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