第七章 †大会初日†

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「痛ってぇ」  男子生徒は打たれた後頭部をさすりながらエルナに振り返った。  エルナは気絶させるつもりで攻撃したにもかかわらず、痛がってはいるようだが、何とも無いかのように立っている彼に驚いて目を丸くする。 「普通に立ってるなんて、どんだけよ…」  エルナはため息を吐くと、再び戦闘体勢に入る。 「エルナちゃん結構乱暴なんだなぁ。こっちもそろそろ本気で行くぜぇ」  そう言うが早いか、男子生徒は既にエルナの足下に入り込み、彼女の腹に拳を叩き込んだ。  エルナはとっさに身体を後ろに逸らし、衝撃を少なくしたが、それでもその華奢な身体に彼の拳は重かった。 「うっ、げほっごほっ」  地面に手を着き咳き込むエルナに、男子生徒は嬉しそうに口元を吊り上げる。 「ごめんなぁ、手加減して殴ったつもりだったんだけどよぉ」  だが次の瞬間、その巨体はゆっくりと傾き、男子生徒はにやついた表情のままその場に倒れ、砂埃が舞う。 「ふん、何が手加減よ。力一杯殴ったじゃない!」  先程まで苦しそうに咳き込んでいた筈のエルナは、いつの間にか男子生徒の後ろに立っていた。  エルナはうつ伏せに倒れたまま動かない巨体を一瞥すると、会場を後にした。
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