第七章 †大会初日†

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「でも何で腹治さねんだ?」  クラッドはエルナが先程から腹部をさすっている事を気にしていた。 「戒めよ。本当は殴られる前に幻覚を見せる予定だったのに、判断が遅い所為でやられちゃったからね」  エルナは腹部の痛みを忘れない要にぎゅっと押さえていた手を握った。 「でもね、私が勝てたのはキラ君のおかげよ。試合前に光を活かせって言ったでしょ?あの言葉が無かったら負けてたわ」  エルナはキラカに照れ臭そうに笑った。  と次の瞬間、終始微笑んでいたキラカの顔から表情が消えた。 「ん、どうした?」 「ちょっと行ってくる」  不思議に思ったシークが声を掛けるも、キラカは足早に建物の外へ出て行った。 「あいつどうしたんだ?」 「分からない」 「さっきまで笑顔だったのに…、あっ、シー君そろそろ試合じゃない?」  三人はキラカの突然の行動に困惑するものの、どうすることもできず、迫るシークの試合の方へ意識を向けた。 …………………  キラカは闘技場を取り囲うように存在する公園の一角に立っていた。  確かに今のは…、でもなんでっ!辺りを見渡すも、目当てのものは見当たらず、それどころか気配すらしない。
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