第七章 †大会初日†

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 キラカが闘技場に戻ろうと歩き出した瞬間、鋭い視線が彼を貫いた。  殺気、じゃない…。キラカが視線のする方へ体を向けると、そこには黒いローブを纏い、顔も見えないおそらく人であろう者が立っていた。 「リョク?」  キラカは少し驚いた様子で黒ローブの人物に歩み寄る。  頭一つ分身長の高いそれをキラカは下から覗き込んだ。 「やっぱりリョクだ。どうしたのこんな所に」 「話がある」  リョクと呼ばれたそれはフードすら取らずに公園の端にある木々の中へ入って行き、それにキラカも付いて行く。  この公園の木々は密集して生えているため、光はあまり届かず、外からも見えない。絶好の密会場所だ。  程なくしてリョクは立ち止まり、キラカに振り返ると、被っていた黒いフードを取った。  そこには以前アズール火山の麓の森で見た緑色の肌の男がいた。 「キラカ、あいつがお前を探しているらしい。先日我が森に来た」  キラカはリョクの話を聞きながら、必死に頭を回転させていた。  さっきの感じはやっぱり、僕を捜してる…。キラカは考える事を中止して、男を見上げて微笑んだ。
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