第七章 †大会初日†

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「そっか、見たかったな」 「始まる直前に飛び出していった奴が何を言う」  残念そうに微笑むキラカにシークの鋭い突っ込みが決まる。 「でもキラ君どうしたの?突然飛び出してったから心配してたのよ?」 「野暮用だよ」  キラカは左頬を掻きながら誤魔化すように笑った。  キラカが居ない間、シークは初戦を快勝、クラッドは本日第二戦目を苦戦しつつも勝ち抜いた。 「エルナの試合は?」  惚けたかの様なキラカに三人の呆れた表情が重なる。 「エルナの二戦目はキラカだろ!?わざとか!?わざとなのか!?」  クラッドはキラカのあまりの呆けっぷりにオレンジの頭を掻き回した。 「ご、ごめん…」  キラカは苦笑いを浮かべて荒れ狂うクラッドに謝罪した。 「で、何時からだ?」  そんな中、シークは迷うことなく少なくともキラカよりはしっかりしているであろうエルナに訊いた。 「お昼のすぐ後よ」 「昼飯は?」 「私は食べると動けないから試合の後食べるわ」  エルナの返事を訊いたシークは、狂ったクラッドとそれを若干楽しんでいるキラカにも話を振る。 「お前らは?」 「お腹空いたし、先に食べるよ」 「行く行く!さっきから腹ぺこだ」  シークは正気に戻ったクラッドと相変わらずのキラカを連れて席を立った。
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