第七章 †大会初日†

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 三人の目の前に運ばれてきたのは、キャベツ、人参、玉葱、豚肉などを炒めたシンプルな料理だった。  机の真ん中に置かれた、一つの大皿に盛られたそれに彼らは思わず口元を緩めた。 「なぁ、食っていい?」  クラッドはそう言いながら箸を皿へと伸ばす。 「うまっ!」  料理と、一緒に出されたご飯を交互に口に運ぶ彼に完食されまいと、シークとキラカも箸を動かす。 「エルナとキラカの試合か…、勝った方と当たるのか」  クラッドは人参を箸で挟んだまま呟いた。 「あれ、そうだっけ」  キラカの相変わらずな様子にクラッドは馴れてしまったのか、溜め息一つ漏らさずに返答する。 「あぁ。ま、どっちと当たってもオレが勝つけどな!」 「待て、お前らが当たるのはもう一試合後だろ。仮にキラカが勝ち上がったとして、二人が対戦するのは四試合目だ」  会話に疑問を感じたシークがすかさず訂正する。 「分かってるよ。でもよ、三試合目もオレ勝つからどっちにしろ当たるぜ?」 「そうか。だが油断はするなよ?」 「おうよ!」  クラッドは自信を秘めた瞳を細めてにっと笑ったが、シークの瞳には不安の色が浮かんでいた。
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