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清潔感漂う白一色のベッドに横たわる、鮮やかなオレンジ色の髪の少年は規則正しい呼吸だけを繰り返し、目を覚ます気配は無い。
「………」
その傍らには、俯き、ただ少年の目覚めを待っている銀髪の少年がいた。
「怖かったんだ。最低だよね、ここまで来ても自分が可愛いみたいだ」
最悪の事態には至らなかったが、躊躇わなければ彼はこんな重傷を負わなかったかもしれない。
二人以外誰もいないこの部屋に、呟くような声が妙に大きく響く。
だが、眠りの深い少年がその声に目を開ける事はなく、再び静かな呼吸音だけが続く。
沈みかけた太陽が窓から二人を見つめていた。
…………………
「もぅ、ほんとにびっくりしたわ」
そう言いながらエルナは皿の上のピーマンの肉詰めをフォークで突き刺した。
あの後エルナとシークは観客席にキラカがいない事に気づき、救護室へと向かってみたところ、案の定キラカはクラッドの隣に腰を降ろしていた。
しかしクラッドの怪我はエルナとシークの予想以上に酷く、目を閉じたまま動かない彼に肝を冷やしたのだった。
「心配かけて悪かったな」
クラッドは申し訳無さそうに呟くと、湯気の立つミネストローネを一口啜った。
その他、色の濃い野菜を基調とした料理が机いっぱいに並んでいる。
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