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「それにしてもこれ全部お前が作ったのか?」
シークは、他の三人よりも明らかに量の多い皿の前に座るキラカを見た。
「うん」
キラカは短い返事を返すと、一口大に切った、唯一の肉料理であるステーキを頬張った。
クラッドが目を覚ますのを待っていた三人に応えるように、予想を大きく上回る早さで意識を取り戻した彼を連れ、怪我人を独りにするのは可哀想だ、というエルナの提案により、キラカの部屋でみんなで食事をする事となったのだ。
キラカの部屋をリクエストしたのは他でもないクラッドである。
「だから言ったろ?キラカの料理すっげー旨いんだって」
クラッドはまるで自分の事のように嬉しそうに料理を誉め、口に運ぶ。
それに対してキラカは、料理が趣味だからこれ位は普通なのだと謙遜した。
「趣味の範囲を超えてるな」
貴族の暮らしにより舌の肥えたシークまでもを唸らせる彼の料理は、瞬く間に消えていった。
食事を終えた三人はそれぞれの部屋へ帰る様子も無く、明日以降の試合について話し始めた。
「明日はクラス内の準決勝、決勝だけね」
「キラカとヒス・カーマイン、俺とニック・ジョンブリアン」
シークは机の上に広げた対戦表に目を落とした。
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