第八章 †大会二日目†

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 翌朝、四人は観客席にて顔を合わせた。 「おはよ」  一番最後にやって来たのはやはりキラカである。 「はよ。お前なぁ、今日も一試合目だろ?もうちょっと早く来いよ」  当日試合のあるものは大抵早めに会場に来て自主トレをするものだ。  現に今観客席にいるシークはつい先程まで試合前の最終調整を行っていた。 「ふーん、次はそうするよ」  そう言うが、説得力が無いのがこのキラカという者である。 「そう言えばクラッド、傷はどう?」 「ん、バッチリだ!でもあの薬何入ってんだ?飲んだと思ったら朝だったぜ?」  昨夜クラッドは、キラカに言われた通りに目覚ましを掛けてから薬を飲んだ。  だがあまりの衝撃にそのまま気を失い、今朝目覚ましによって意識を取り戻したのだった。 「知らない方がいいと思うよ?」  それでも得体の知れない何かを飲まされたと思うよりはマシだと、クラッドはキラカから材料を聞き出した。  しかし真実を知ったクラッドの顔は全身の血を抜かれたかのように青ざめ、猛スピードでトイレへと消えていった。  内容は聞いていないが、エルナとシークも、クラッドの様子からキラカの前で怪我はしないと強く心に誓ったのだった。
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