第一章 †魔法学校†

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 積み上げた教科書の上に最後の一冊をポンッと載せたが、もう埃は発たなかった。 「ふぅ。終わったー」  部屋に入った時はまだ日は落ちきっておらず、明かりを点けなくても十分な明るさだったが、今ではすっかり暗くなり、月明かりが窓から照らすだけである。  教科書の修復を終えたキラカは、自分と教科書以外何もない部屋を見渡す。 「あの時シークと一緒に机と椅子くらい買えば良かったかな」  後悔を一人呟くと、キラカはそのまま体を後ろに倒し、頭上にある窓から雲ひとつ無い夜空を見た。  そこには、もしかしたらこのままぶつかるんじゃないだろかと思うほどの大きな満月が浮いている。  キラカは穏やかな表情でその月を見つめていた。  セピア、友達ができたよ。心の中で問い掛ける。  星の見えない夜だった。
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