第一章 †魔法学校†

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 キラカは自分の左手に視線を落とした。 「………」  人差し指と中指に指輪が一つずつ、袖の間から覗く手首に腕輪が一つ、窓から差し込む光を反射して輝いている。  それを見つめる薄紫瞳からは何も読み取れない。 「まぁ、魔具はとても高価な物だから、見たことないヤツが殆どだろう。肌に直に触れるものが主流だ。例えば、指輪や腕輪、ネックレス、中にはグローブや眼鏡なんかもある」  男性教師の声とノートにメモを取る音以外は聞こえない静かな空間で、キラカは隣で真剣に教師の話に耳を傾けているシークを一瞥すると、窓の外に視線を移し、物思いに耽る。  暖かい日差しは、少年を眠りの世界に導くには十分すぎて、教師の声が遠ざかっていくのを感じながら、キラカは瞳を閉じた。 …………………  しばらくそうしていると、授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り出し、少年を叩き起こす。 「あぁ、終わりだな」  教師はそう言うと、頭をがりがり掻きながら素早く教材をまとめ、教室から去っていった。
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