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…………………
「キラカ、次お前だぞ」
「うん。行ってくるよ」
シークは廊下でのキラカの表情の訳が気になったが、何も言わずに彼を見送った。
カーテン一枚で隔てられたその空間にはアリスが生徒の名簿と思われる紙を持って椅子に腰掛けていた。
カーテンは薄いものだが、魔法がかけてあるらしく、カーテンの外の音は一切聞こえない。
「キラカ・ライラックね。
ん?この感じは…、その指輪は魔具かしら?」
アリスはキラカの左手を見て少し驚いているようだった。
「外さなきゃダメですか?」
キラカは一瞬ピクッと肩を揺らしたが、何食わぬ顔で聞き返す。
「そうね。正確な魔力量を計りたいし、でも16歳で魔具を付けている子がいるとは思わなかったわ」
キラカは指輪を二つ外し、脇にあった机の上に置いた。
「では、これに触れて」
そう言ってアリスはキラカの前に直径15cmくらいの水晶玉を指差した。
キラカが水晶玉に触れると、透明だった水晶玉は真っ赤に輝く。
「まあ!素晴らしいわ。魔力量はS級ね。もう行っていいわよ」
キラカは外した指輪を着け終えるとアリスに軽く頭を下げ、カーテンを開き出て行った。
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