第二章 †実技の授業†

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 別に待つくらいいいのだが、そんな心遣いに思わず口元が緩む。 「じゃあクラッドがなかなか終わらないなら、先に教室に帰って待ってようか」  シークは体育館を覗き、中にクラッドが居るであろう面談用カーテンの様子を探る。 「そうだな。まだ暫くかかりそうだ」 ………………… 「でさぁ、それからずっと説教だぜ?まじねぇよ」  クラッド曰わく、面談の時に態度を注意され、軽く受け流そうとしたらまた注意され、挙げ句の果てに人生について語られたらしい。 「それは不運だったわね」  エルナは哀れなクラッドに慰めの言葉を述べた。 「でも、それはクラッドが悪いよね」 「同感だ」 「おめぇらに同情の言葉は期待してねぇよ!」  クラッドはふてくされたように言い放つと、何か思い出したのか、次の瞬間パッと表情が明るくなり、ちょっと得意げに喋りだした。 「それよりオレさ、魔力Aだったぜ!凄くね!?」 「残念だったな。俺もAだ」  シークはクラッドの肩に手を置くと悪戯っぽく微笑んだ。 「二人とも凄いのね。私はBだったわ」  エルナは友人二人との差に肩を落とした。 「でも僕らの平均はBだから、そんなに落ち込むこと無いよ」  確かにAとBの差は実際結構広いが、Bだって決して魔力が少ない訳ではない。 「キラカはどうだったんだ?」  シークの言葉に三人の視線がキラカに集中する。  なんだかとても言いづらい。だが、言わないでいるのも如何なものか。 「…えっと、S、かな?」
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