第二章 †実技の授業†

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 教室にいた何人かが此方に驚いた表情で振り返った。 「キラカすげー」  この三人も同様である。 「属性はいくつ使えるの?」  先程まで暗い表情だったはずのエルナは興味と期待で瞳を輝かせている。 「ひ、秘密だよ」 「ふーん。オレは火と雷と風!」 「私は水と光よ」 「俺は闇と雷と土だな。で、キラカは?」  自らの個人情報を曝してでも聞き出したいようだ。  なんだが言わなきゃいけない空気になってしまった。若干やけくそ気味になっている自分に溜め息を漏らしながらも、重い口を開く。 「……風と水と火と光」  三人は顔を見合わせ何か話し合っているようだが、一方で他のクラスメートの反応は一時的なもので、今では自分たちの会話へ戻り、此方に意識を向けている者はいない。 「じゃあ使いこなせるのは?」  この人達はどこまで僕を探るんだろうか。親しき仲にも礼儀あり。という諺を知らないのだろうか。まだまだ知り合ったばかりで、親しき仲と呼べるかは別だが。 「…2つ」 「嘘付くなよ?」 「…4つ」  僕はなんてバカなんだ。嘘も碌に付けないなんて。まぁこの三人なら問題無いが。キラカは自嘲気味に笑う。 「4つって全部かよ!オレなんか盛って2つだよ」  使いこなすことができる、できないは、中級魔法以上が使えるか否かで判別する。 「お前、やっぱ徒者じゃないな」  こうして授業初日は暴露大会として幕を閉じた。
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