第二章 †実技の授業†

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 放課後、二人の新友を新たに加え寮へ向かう。 「キラカ、さっきはその…、ノリとはいえ悪かった」  シークは3mくらい前を歩くクラッドとエルナに聞こえないくらいの音量で、自分の肩くらいの背丈の少年に言った。 「別にいいよ。この四人だけの間ならね。クラス全員に知れちゃうのはちょっと困るけど」  キラカの表情を窺っていたシークは、緊張した表情からホッとした表情に変えた。 「よかった。キラカ怒ってんじゃないかって心配してたんだ」  シークはそう言うと、軽い足取りで前を歩くクラッドとエルナの方へ加わった。  そんな風に見えるのだろうか?心配するなら最初から問い詰めないでいただきたい。  キラカは苦笑いを浮かべ、小さくため息を吐くと、彼らの元へ加わった。 …………………  日が西へ沈みきる頃、キラカは台所で大根を一口大に切っていた。  偶然なことに四人の部屋は皆同じ二階で、シークは階段を上がってすぐの219号室。クラッドはキラカ(210)の隣の211号室。エルナは205号室だ。  部屋番号は入試の受験番号順になっているらしい。  これも何かの縁なのだろう。 「セピア、ここはとても楽しいよ。けど…」  キラカは一旦手を止め、ゆっくりと薄紫瞳を閉じた。  暫くして瞳を開くと、また夕飯の調理を再開した。  空には星が輝き始めていた。
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