第三章 †魔術†

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「シーク、モテモテだね」  キラカはニヤニヤしながら言った。 「なんの事だ?」  シークは赤面するどころか首を傾げて問い返した。 「なんだ。ちょっとは照れるかと思ったのに。まぁ頑張ってね」  シークは背も高く、家柄のせいなのか落ち着きがあり、顔も整っている。そして優しい性格の持ち主なのだ。女子達が騒ぐのも無理ない。  キラカは放心気味のクラッドを女子の群から連れ出すとシークを一瞥、だがシークは既に群に呑み込まれてどこにいるのか分からなかった。 「大丈夫?」 「あぁ、大丈夫だ。」  クラッドはどこか遠くを見つめている。 「なぁキラカ、オレに足りないものってなんだ?」 「背かなぁ?だってクラッド僕より小…」 「や、やめろ!身長は努力じゃ伸びないんだ!それ以外で無いのか!?」 「ははっ、あの女の子達に訊いてみたら?いっぱい教えてくれると思うよ?」  キラカもクラッドも、決して不細工ではない。だが、中性的な顔立ちのキラカ、どこか幼さの残るクラッドは、女子達の王子様であるシークの前では霞んでしまうのだった。  キラカは泣きそうなクラッドを見て嬉しそうに微笑んでいた。 ………………… 「では、これからこの耐魔石に皆さんの中級魔法をぶつけてもらいます」  アリスがそう言うと、体育館の床から高さ1,5m、幅50cmくらいの白濁した、石というよりも岩のようなものが四十個程現れた。
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