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「これは耐魔石と言って、上級魔法くらいなら何度でも耐えることのできるものです。因みにこの学校の外壁も耐魔石から出来ています。それでは皆さん、ペアで一つずつ耐魔石の前に立ってください」
生徒達が移動し終わり、また視線が自身に集まるのを確認すると、アリスは自分の前に立っている耐魔石に手を翳し、火の中級魔法を放った。
耐魔石は激しい炎に包まれたが、彼女が翳していた手を下げると炎は消え、そこには先程と変わらない白く艶のある耐魔石が存在していた。
「こんな風に、耐魔に優れているので、皆さん心置きなく魔法をぶつけてください。但し、私が一ペアづつ見ていくので、それまでに魔力切れにならないように気を付けてください」
アリスがそう言い終えると、一斉に体育館中が魔力の気配で満ち始めた。
「なぁキラカ、オレさ火は使いこなせるんだけどよ、風と雷はいまいちなんだ。そこでだ、オレに風を教えてくれないか?」
クラッドはオレンジの頭を掻きながら照れくさそうに言った。
そんなクラッドを見てキラカは一瞬驚いたが、すぐに優しく微笑んだ。
「僕でいいなら教えるよ」
予想外だが期待通りの返答に、クラッドの表情はぱっと明るくなった。
「頼む!…それと、本当は雷も教わりたいんだけど、さすがに無理だよな?」
クラッドはダメ元でキラカの返答を待った。
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