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雷か、大丈夫だ。アドバイスだけなら大丈夫。キラカは迷っていたが、小さく頷くとにっこりと笑った。
「大丈夫だよ。コツとかアドバイスするだけなら」
キラカの返答が意外だったのだろう。クラッドは一瞬固まったかと思うと、ぐっとキラカに詰め寄った。
「本当か!?よっし、頼むぜ?」
クラッドが耐魔石に手を翳す。その表情は普段と違い、正に真剣そのもので、数段大人びて見える。
「いくぜ!」
クラッドの掌から強風が吹き出した。だが、それだけだ。数秒してクラッドが手を握ると風は収まった。
「これが今のオレの限界だ。何が悪いか分かるか?」
少し下がって見ていたキラカは、顎に指を当てて思案する。
風との相性は悪くない。出力もバッチリだ。問題なのはイメージ、だろうか。キラカはクラッドの隣に移動すると、耐魔石を見据えたまま呟いた。
「多分イメージしきれてないと思うんだ。ちょっと見てて?」
そう言うとキラカは耐魔石に手を翳し目を細めると、掌から三日月のような風の刃が一つ高速で放たれた。
「魔法ってイメージなんだ。風を圧縮して放つ事で、密度の高い風が刃状になって飛んでいくのをイメージして…、そうだなぁ、鎌!鎌をイメージしてみて」
「鎌だな?よーし」
クラッドは再び耐魔石に手を翳すと、目を瞑り、ぶつぶつと呟きだした。
「鎌鎌鎌…」
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