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クラッドは閉じていた瞳を開くと、耐魔石に向かって風魔法を放った。
それはキラカのものより威力、速度は劣るものの、先程のただの強風とは明らかに違うもので、確かに鎌の刃のような形をしていた。
「おぉ。キラカ、今のでいいのか?」
クラッドは自分の掌を信じられないといった感じで見つめるとキラカの方へ振り返った。
「うん!あとは何度も練習すれば密度も速度もまだまだ伸びるよ」
クラッドはキラカの言葉に満足そうな笑顔を浮かべた。
「キラカもやるか?オレばっかり練習するのも不公平だしな」
クラッドは耐魔石の前から離れると、キラカにその場所を譲った。
火を練習しようか、温度をもうちょっと上げたいんだよね。キラカが左手で耐魔石に触れると白黄の炎が耐魔石を包む。
やっぱりまだだめか。白炎になるにはまだ温度が全然足りない。
「コレって火なのか?」
「うん。火魔法は高温になればなるほど白っぽくなるんだ」
キラカは耐魔石に手を着いたまま言った。
「オレ、火魔法得意なのに知らなかった…」
クラッドがキラカの白黄の炎に見とれていると、背後から別の声が聞こえた。
「知らなくても不思議じゃないわ。何せ魔法学校の初等科や中等科では教えていませんからね」
二人が声のする方へ体を向けるとアリスが腰に手を着いて立っていた。
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