第三章 †魔術†

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 氷の球体は徐々に回転しながら形を変えていき、丸かった氷が今ではゴツゴツとした歪なものへと変化している。  そろそろ大丈夫かな。氷の中に確かな手応えを感じる。  そしてキラカが、上げていた左手に右手を添えた次の瞬間 「なっ!」  思わず三人は息を呑んだ。 「綺麗。すごいわ…」  そこには氷でできたドラゴンが浮いていて、ドラゴンは静かに着地するとそのまま動かなくなった。 「ねぇ、触ってもいい?」  エルナは小さい子どものように瞳をキラキラさせてキラカを見つめた。 「いいよ」  キラカの言葉を聞いたエルナとクラッドは氷のドラゴンの元へ駆け出した。  水の上級魔法。喜んでくれたみたいで良かった。キラカは嬉しそうなエルナとクラッドを見て保護者のように微笑んだ。 「キラカ…、お前いったい…」  シークは青紫の瞳で、はしゃぐエルナとクラッドに微笑んでいるキラカを見据えていた。
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