第四章 †エルナの薬草†

4/11

159人が本棚に入れています
本棚に追加
/206ページ
 それを見た男性教師は少女を怒鳴りつけた。 「だめだ!生徒は下がっていなさい!」  それでも少女は怯まず、治癒を施そうとする。 「おい!聞いてるのか!」  指示を聞かない女生徒の肩を掴もうとした男性教師をアリスの声が止めた。 「待って、彼女はエルナ・ラテコッタよ」 「ラテコッタ?」  男性教師はその名を聞くと渋々伸ばしていた右腕を下げた。  エルナが傷口に手を翳すと、白っぽい光が傷口を覆い、みるみるうちに塞がっていく。 「先生、出血は止まりましたが、頭を強く打っているようで、意識はまだ…」  エルナは沈痛な面持ちでアリスと向かい合った。 「十分よ。でも流石ね。こんなに早く止血が出来るなんて、エレンとあなたくらいよ」  エルナは、エレンという名前を聞いて一瞬驚いた表情を見せたが、恥ずかしそうに照れ笑いをした。 …………………  キラカ達が事故現場にたどり着くと、そこには笑顔で会話をするエルナとアリスの姿があった。 「エルナ、無事だったんだ」  キラカは額に滲む汗を拭い、安堵のため息は吐いた。 「あら、三人ともどうしたの?」  エルナは駆け寄って来た少年三人の顔を覗き込んだ。
/206ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加