159人が本棚に入れています
本棚に追加
/206ページ
キラカはエルナが無事であることを確認して微笑むと小さく息を吐いた。
「いや、教室にエルナの姿が見えなかったから心配になって」
キラカは後ろを振り返り、息をきらしている少年二人に同意を求めた。
「あ、あぁ…」
「そう、だぜ…」
シークとクラッドも彼女が無事であると知って気が抜けたのか、地面にドサッと腰を下ろした。
「心配してくれてありがとう。でも、私がこの爆発を起こしたなんて思われたなら心外だわ。この爆発は実技の授業中に起きた水素爆発なんだから」
エルナは腰に手を着くと苦笑いをした。
「水素爆発?…あぁなるほどね」
今回の爆発は実技の授業中に、本来ならば耐魔石に向けて放たなくてはならないものを、何らかの理由で生徒同士が放ち合い、たまたまその属性が水と火であったが為に、このような大惨事になってしまったようだ。
「でもなんで教室にいなかったの?」
キラカの問い掛けに答えたのはエルナではなく、隣で会話を見ていたアリスだった。
「エルナさんは爆発のあった第二体育館の裏で薬草を採ってたんですって。ほんと、エレンにそっくりだわ」
今のアリスに普段のキリッとした雰囲気は無く、無邪気な笑顔を浮かべていた。
最初のコメントを投稿しよう!