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「エレンさんって?」
キラカの問いにエルナは恥ずかしそうに答えた。
「エレンっていうのは私のママなの」
エルナの言葉にアリスが付け足す。
「『エレン・ラテコッタ』、彼女は私の高等科時代の同級生なのよ。治癒魔法に長けていて、気立てが優しくて、今はノクタリートの国立病院で院長をやってるって聞いたわ。エレンは私が知る限り、最高の医療魔術師よ」
医療魔術師とはその名の通り医療に携わる魔術師のことで、所謂、医者だ。光魔法が使えることが絶対条件である。
「へぇ、エルナの母ちゃんすげぇのな!」
先程まで座り込んでいたクラッドが関心した様子で言った。
「うん。だからね、私もママみたいになりたいなって」
エルナは母を誉められたことがとても嬉しかったようで、キラキラと笑顔を輝かせた。
「なるほど、それで薬草か。でも別に授業中じゃなくても良かったんじゃないか?」
シークは指先を顎に添えたまま首を傾げた。
「そうなの!本当は放課後にでも採取しようと思ってたんだけど、今朝、今日その薬草を業者の人が持ってっちゃうって聞いて…」
「急いで採りにきたんだ?」
「うん。でも…」
エルナの声はだんだん小さくなっていき、彼女は視線を地面に落とした。
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