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「薬草はね、新薬の研究用に欲しかったの。でも事故で殆どがダメになっちゃったし、唯一残ってたやつも怪我をした人のために使われちゃったの。まぁ、ママに言えば少し分けてもらえると思うんだけど、ママには秘密でやってたからあんまり頼りたくなくて…」
クーリエ魔法学校は国内でも珍しい、薬草を校内で栽培している学校で、全国の医療施設に出荷するというビジネスも行っている。
「その薬草は此処以外には無いの?」
キラカの言葉にエルナはゆっくりと顔を上げた。
「あると言えばあるけど、ノクタリートではアズール火山の麓くらいにしか無いわ」
「でも必要なんだろ?」
「うん」
エルナはシークの問い掛けにしっかりと首を縦に振った。
クラッドはすでにアリスが近くにいないことを確認すると、白い歯を見せて言った。
「じゃあ、行くか!」
「そうだな、明日の朝出発でいいか?今からだと日があるうちに帰って来れそうにないしな」
「そうだね」
クラッドの声にシークとキラカも迷わず同意した。
「ちょ、ちょっと待ってよ!私のためにそこまでしなくていいよ!第一、アズール火山ってとても危険なのよ!?」
エルナはどんどん話を進めていく三人を慌てて止めに入った。
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