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二人は黙々と歩いていたが、クラッドが静かに口を開いた。
「なぁ、本当に大丈夫なのか?」
クラッドの言葉が意外だったのかキラカは一瞬立ち止まる。
「大丈夫だよ。光は得意な方だし、指輪を外せば魔力切れになることもないよ」
キラカは笑って指輪を見せた。
「そうか、ならいいんだ。もしかしてオレのために無茶言ってんじゃないかって思って」
クラッドもキラカの様子に安心したのか笑顔になった。
「でも、そう言えばよ、まだオレたちお互いの実力って知らねぇよな?」
クラッドの言葉にキラカは頷く。
「そうだね。分かってるのは魔術の属性くらいだし、実戦的なのは全然知らないね…」
二人は急にアズール火山の麓に行くことに不安を感じた。
「あ、安心しろ!オレは大丈夫だ!頼りにしていいぜ?オレはキラカを頼りにしてるからな」
そう言って白い歯を見せるクラッドにキラカは嬉しそうに微笑む。
「僕もクラッドを頼りにしてるよ」
そのあと二人はまた黙々と寮まで歩き、部屋が隣どうしということで部屋の前で別れた。
「頼りにしてる、か…。ふふ、懐かしいな」
キラカは一人、自嘲ぎみに笑うと夕飯の支度をするべく鍋を火に掛けた。
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